住宅ローンを組むと団体信用生命保険(以下、団信)という保険の機能が基本的に付きます。
団信は銀行によっては三大疾病保障付きの団信もあります。「団信に三大疾病保障は付けたほうがいいのかな?」という疑問に自転車FPが解説します。
三大疾病付きの団信
そもそも団信とは、住宅ローンを組んだ人が死亡した時に、住宅ローンが無くなるという保険のことです。
つまり、夫が住宅ローンを組んで万が一死亡した時は、住宅ローンの支払いが無くなり妻が住宅を手に入れることが出来ます。
さらに三大疾病付きの団信だと、死亡しなくても三大疾病と認められれば住宅ローンの支払いが無くなります。
また、ほとんどの住宅ローンに団信が含まれています。なので、基本的に住宅ローンと別で団信の掛金を支払う必要はありません。
ただ、三大疾病保障付きの団信は、通常の金利にプラスで金利が上乗せされます。つまり、三大疾病保障分の掛金を支払う必要があります。
三大疾病とは?
↓りそな銀行の3大疾病保障特約付住宅ローン(画像をクリックするとページに移ります)

三大疾病とは下記3つの病気が対象となります。
1、がん
2、急性心筋梗塞
3、脳卒中
ただし、上記3つの病気が対象と言っても、認められるにはそれぞれ細かい条件があります。
三大疾病と認められる条件は?~がん~
三大疾病の内、「がん」として認められる条件は
■「がん(悪性腫瘍)と診断確定されたら」
と言うことが条件です。つまり「悪性のがん細胞が見つかりました」という医師の診断書があれば対象になる、ということです。ということは入院や通院で「治療する」「治療しない」に限らず診断されたら対象になります。
がんの対象はどの銀行も上記の条件でほぼ同じです。
また、良性のがん(腫瘍)や上皮内がんは対象外になります。
三大疾病と認められる条件は?~急性心筋梗塞・脳卒中~
三大疾病の内、「急性心筋梗塞」「脳卒中」として認められる条件は銀行によって微妙に異なる場合があります。
例えば、りそな銀行の場合は下記のような条件になります。
■「60日以上所定の状態が継続したと医師に診断される」
かつ
■「治療を直接の目的として所定の手術を受ける」
つまり「がん」のように「急性心筋梗塞」「脳卒中」と診断されたら認められるということでなく、上記のような条件があります。
ちなみに、りそな銀行の場合、通常の金利に+0.25%の金利が上乗せになります。
それに対して三菱UFJ銀行は下記のような条件になります。
↓三菱UFJ銀行の3大疾病保障充実タイプ(画像をクリックするとページに移ります)
三菱UFJ銀行は、「急性心筋梗塞」「脳卒中」と認められる条件がりそな銀行と違い、下記のような条件になります。
■「入院したら」
というこいうことは「60日以上所定の状態~」や「手術」などの条件がありません。「入院」すればよいので、りそな銀行よりも条件が緩いと言えます。
ただし、三菱UFJ銀行の場合、通常の金利に+0.3%の金利の上乗せになるので、りそな銀行よりも多少金利上乗せが高めです。
このように、三大疾病保障付きの団信と言っても、銀行によって三大疾病と認められる条件や金利の上乗せの%が各銀行によって違います。
住信SBIネット銀行の全疾病保障付き団信
↓住信SBIネット銀行の全疾病保障付き団信(画像をクリックするとページに移ります)

よく質問のある住信SBIネット銀行の全疾病保障付き団信について解説します。
他の銀行のように上乗せの金利が無く保障を付けられるのですが、注意点があります。結論から言って、上記の三大疾病保障付きの団信より条件が厳しいです。
認められるための条件としては下記の条件が必要となります。
■「就業不能状態となった場合」
この「就業不能状態となった場合」とは具体的には「保険金がお支払いされない主な場合」に明記されています。
※就業不能状態とは被保険者本人の経験・能力に応じたいかなる業務にもまったく従事できない状態をいいます。
「いかなる業務にもまったく従事できない」とうことは、上記のりそな銀行や三菱UFJ銀行に比べると条件が厳しいと言えます。
りそな銀行や三菱UFJ銀行は「がん」の場合、診断されただけで団信が実行されますので。
また、下記の8つの病気以外は免責期間が1ヶ月あります。
・がん
・急性心筋梗塞
・脳卒中
・高血圧症
・糖尿病
・慢性腎不全
・肝硬変
・慢性膵炎
*免責1ヶ月:1ヶ月以上の就業不能が対象。逆に言うと1か月以内の就業不能は対象外。
また、就業不能と認められたら、上記8疾病は12回、それ以外は11回を上限に毎月の住宅ローンの支払いが団信でまかなわれます。つまり住宅ローンの支払いが免除されます。
そして、連続して1年間就業不能状態と認められるとその時点の住宅ローンの残債が無くなります。
つまり、単純に「がんが見つかったから」ということで、団信が実行され住宅ローンの支払いが無くなる訳ではありません。
とは言え、無料で付けられる団信ですから、通常の死亡のみの団信よりは保障の幅が広いと言えます。
大事なことは仕組みを理解した上で判断することが重要といういことです。
三大疾病付きの住宅ローンを選んだら、その他の生命保険は入らなくてもいい?
「三大疾病保障付きの団信を付けたら、他で加入している民間の保険は解約しても大丈夫かな」と考える人もいます。
ただ、住宅ローンに付けられる三大疾病保障付きの団信と生命保険の保険商品はまた別物と考えるのが良いでしょう。
とういのも
■三大疾病保障付き団信 ⇒ 住宅ローンが無くなる
■生命保険 ⇒ 住宅費以外の生活費
が保障されます。
つまり三大疾病保障付き団信で住宅ローンの支払いが無くなっても月々の生活費は必要です。
また、場合によっては三大疾病保障付きの団信を生命保険で代用することも可能です。つまり三大疾病保障付きの団信を選ばず、代わりに生命保険に加入することで同じ保障を用意することも可能の場合があります。
ただ、団信と生命保険では掛け金が違います。
■団信 ⇒ 全員一律
■生命保険 ⇒ 加入者の年齢・性別などによって掛金が変わる
そのため、三大疾病保障付きの団信を検討する場合は、生命保険で三大疾病の保障を用意した場合のプランと比較して検討するのが良いでしょう。
特に保障内容と掛金が違いますので、費用対効果を比較しましょう。
管理人から一言
住宅ローンは大きな借金になります。また返済期間も一般的に35年と長期になります。
その35年の間に「がん」などにより返済が厳しくなってしまう可能性があることを考えたら、三大疾病保障付きの団信に加入すれば安心できます。
ただ、その分の金利の上乗せがありますし、もし無事に何事もなく返済が終わればもったいなかったとなります。
三大疾病付きの住宅ローンを選んだ方がいいということではなく、メリット・デメリットを理解し、上乗せとなる月々の支払額を試算して「この位の月々の返済額アップなら付けてもいいかな?」「返済額がこの位アップするなら付けなくてもいいかな」と比較して検討するのが良いでしょう。
また、ネット上の情報のみで判断せず、三大疾病保障付きの団信を検討する際は専門のFPに相談するのがベストです。
都内近郊であれば管理人がご面談の上、解説させて頂きますので気軽にご相談下さい。