「高額療養費があれば医療保険はいらない?①」で高額療養費の仕組みを解説しました。
高額療養費の仕組みを基に医療保険が必要かどうか、自転車FPが解説します。
医療保険の費用対効果~掛金~
↓アフラックの医療保険の掛け金(画像をクリックするとページに移ります。)
医療保険の具体例としてアフラックの医療保険を例に挙げます。
最近の医療保険は保険期間:終身保障、払込期間:終身が主流です。
*保険期間:終身保障、払込期間:60歳も設定できます。
保険期間:終身保障、払込期間:終身・・・
「掛金を払い続けていれば保障が一生涯続く。掛金も一生涯変わらない」と言う意味
上記図の例に挙げると
■30才・男性
■入院日額5,000円
⇒「入院したら1日5,000円もらえる」と言う意味
■通院なしプラン
■月払いの掛金:1,425円
つまり「(30才の男性だと)毎月1,425円支払い続ければ、入院したら1日5,000円もらえる保障が、何歳になっても一生涯続く、掛金も変わらない」と言う意味になります。
医療保険の費用対効果~一生涯でいくら払う?~
上記の例だけ見ると、「月々の掛け金が1,425円だと安いな」と思うかもしれません。
でも、よく考えてみると、生きている限りの支払いなので仮に80歳まで続けると・・・
1,425円×12ヶ月×50年(30才~80歳まで)
⇒855,000円(約85万円)
と、50年間で支払う医療保険の掛け金は約85万円になります。
また同じように他の年齢で80歳までに支払う医療保険の合計の掛け金を計算すると・・・
30才 ⇒ 約85万円
40才 ⇒ 約90万円
50才 ⇒ 約101万円
となります。
「月々この位なら安いからいいかな」と思っても一生涯で計算すると意外とまとまった金額になります。
一生涯で支払う医療保険の掛金は日額の何日分?
では、上記のように、一生涯で100万円近く支払って、どの位の効果があるのかを簡単に計算してみます。
上記の掛金の合計額の計算は日額5,000円のプランの場合です。
と言うことは、
30才 ⇒ 約85万円
約85万円÷5,000円=170日
170日と言うと、約5.5ヶ月です。つまり、30才の人が一生涯で170日入院したら元が取れるという計算になります。
保険会社にとって医療保険とは?
もちろん、一生涯を考えれば、5.5ヶ月くらい入院する人もいます。特に高齢になれば1~2ヶ月の入院くらいはあり得るでしょう。
また、正確には一般的な医療保険には手術給付金が付いているので、上記の計算がすべて当てはまる訳ではありません。
ただ、普通に考えると、一生涯で支払った医療保険の掛金以上に給付金をもらえる人は多くないです。
ということは、保険会社から見ると医療保険は利益率が高い商品と言えます。
医療保険はいらない?
医療保険のメインの保障の日額のみ計算すると上記の計算のように医療保険は・・・
■保険会社⇒利益率が高い商品
■契約者⇒費用対効果が薄い
という考え方も出来ます。
ただし、医療保険のオプションとして付けられる先進医療特約は費用対効果が高いです。
どの保険会社も100円~200円位で付けることが出来て、請求することがあったら数百万円の給付金になることもあります。
費用対効果としてはとても高いです。
ただし、先進医療特約のみで加入は出来ません。必ず医療保険に付けなければなりません。
つまり、基本保障の日額では費用対効果は見込めませんが、先進医療特約は効果が高いので、先進医療に備えることを目的に医療保険に加入すると言う考え方もあります。
医療保険は必要ないと思う人は
「高額療養費があれば医療保険はいらない」と考えてしまうのは一般的に若い方が多いようです。
なぜなら、若ければ当然、医療保険を使う可能性が低いからです。逆に60才以降になると「医療保険に入らなきゃ」と思う人が多いようです。
と言うのも、60才以降ですと「いつ病気になってもおかしくない」と思う人が増えるからでしょう。
もちろん、現役世代では医療保険に入らず、60歳になってから医療保険に入るということも出来ます。
ただ、前述で計算した下記を見てみると・・・
(80才までに支払う医療保険の合計額)
30才 ⇒ 約85万円
40才 ⇒ 約90万円
50才 ⇒ 約101万円
何才で医療保険に入ろうと一生涯で支払う掛け金はいずれにしても100万円位になってしまいます。
正確には若いうちに入れば、掛金の合計はお得になる傾向にあります。これは利率の問題で長く掛け金を支払ってもらった方が、保険会社も利息を得やすいからです。
医療保険はいつでも入れる訳ではない
医療保険は健康でないと加入できません。
若い人でも治療歴や健康診断の結果次第で、医療保険に加入できない、もしくは条件が付いてしまうことがあります。
条件とは
・ヘルニア ⇒ 腰に関しては〇年間対象外
・胃潰瘍 ⇒ 胃に関しては〇年間対象外
・子宮筋腫 ⇒ 子宮に関しては〇年間対象外
・帝王切開 ⇒ 出産に関しては〇年間対象外
などがあります。
当然、年齢が上がれば健康上の問題が見つかる可能性は高まります。
結局、医療保険はどうしたらいい?
上記の解説をまとめると
1、医療保険に加入する
⇒早い方(若いうち)に加入するのが良い。
(若ければ健康である可能性が高いから)
⇒いつ加入しても一生涯で約100万円くらいの総額
⇒年齢が上がってから加入した方が、一生涯の掛金総額が高くなる傾向にある
2、医療保険に入らないなら一生加入しない
⇒その分、貯金をきちんとしておく
⇒年齢が上がったら加入しようとは思わない方が良い
の二択と言えます。
管理人からひと言
「医高額療養費があるから医療保険に入らない」と言う考え方は安易な考え方です。
入院日額だけ見ると費用対効果が低いように見えますが、もし実際に先進医療を受けたいとなって、その費用が数百万円だとすると、
■医療保険に入っている
■医療保険に入っていない
では大きな違いです。
ちなみに先進医療として認められる治療の数は今後増えていくであろうと言われています。
今は数が少ないから「将来、先進医療の数が増えてから入ろうかな」と思っているのであれば、今、医療保険に加入しても、その時加入しても、一生涯で支払う医療保険の総額はあまり変わらないので、今(若いうちに)加入した方が良い、ということになります。
そもそも高額療養費は国の制度ですから、将来的にどのような制度になるか分かりません。
ご存知の通り、日本の社会保障費は日本の財政を圧迫しています。健康保険のサービス内容は低下する傾向にあります。
実際に高所得者の高額療養費の自己負担が増えました。
20年後、30年後、もしかしたら、アメリカのように医療保険に入っていないで病院で治療を受けた場合、とんでもない高額な治療費を請求される時代が来るかもしれません。
色々な要素があり、将来的にどうなるか分かりません。
今すぐに使うこともないかもしれませんが、最低限だけでも医療保険に加入しておいても良いと思います。
解約はいつでもできますが、健康状態によっては将来加入できなくなるかもしれませんので。
ただ、医療保険は保険会社によっても違いがあります。医療保険を検討する場合は、ネットの情報だけで判断せず、専門のFPに相談するのがベストです。
都内近郊であれば管理人がご面談の上、解説させて頂きますので気軽にご相談下さい。